ものづくり、あなたの夢かなえます。
「電気電子通信工学の分野」 とは....電気 [Electrical] ・電子 [Electronic] ・通信 [Communications] に関わる技術は、電気産業、エネルギー産業、電子デバイス産業、情報通信産業、計測器産業など、あらゆる産業分野で応用されています。
日本の産業において電気はほとんどの産業に携わり、必要不可欠な分野になっています。農業機械、船舶機器、食品からデバイスの工場設備、建設機械、コンピュータや情報通信機器の全てにおいて電気分野の技術が応用されています。よって電気技術者は全ての産業において必要です。
電 気 [Electrical]
電気機器、エネルギー機器、食品機器、衛生機器、環境浄化機器、福祉機器、AV機器など
電 子 [Electronic]
ロボット、光エレクトロニクス、電子回路、電子デバイス、制御機器、計測器、医療電子機器など
通 信 [Communications]
通信システム、ネットワーク、地球環境探査、衛星通信、プログラミング、ソフトウェアなど
電気電子通信工学コースでは、電気・電子・情報通信技術を融合し、環境・エネルギー問題に対応できる技術者を育成します。電気エネルギーシステム系、電子デバイスシステム制御系、通信・情報・メディア系の3つの柱をバランスよく履修できる教育を行っています。
最新情報
2024-09-19E-letter / 研究関連 / 記事2023年電子・情報・システム部門大会 企画賞を受賞
掲載日:令和6年9月19日
本投稿は八戸工業大学HPの記事「受賞のお知らせ(工学部工学科 越田俊介准教授)」より引用しております。画像などより詳しくはリンク先をご覧ください。
工学部工学科の越田俊介准教授(電気電子通信工学コース・システム情報工学コース)が、電気学会にて2023年電子・情報・システム部門大会 企画賞を受賞しました。この賞は、電子・情報・システム部門大会において提案・開催された企画セッションの中から、活性度が高いと評価されたセッションに対して授与されます。
受賞セッション:「制御・信号処理の分野横断技術の新展開」受賞日:2024年9月5日 [...]
2024-09-04E-letter / 研究関連 / 記事IEEE(米国電気電子学会)主催国際会議にて本学大学院生が発表しました
掲載日:令和6年9月4日
本投稿は八戸工業大学HPの記事「IEEE(米国電気電子学会)主催国際会議にて本学大学院生が発表しました」より引用しております。画像などより詳しくはリンク先をご覧ください。
大学院工学研究科(電子電気・情報工学専攻)博士前期課程2年生の伊保内孝吏さんが、IEEE(米国電気電子学会)主催の国際会議Taiwan and Japan Conference on Circuits and Systems(TJCAS 2024)に出席し、研究成果を発表しました。本国際会議は主として台湾と日本の研究者による研究討論と国際交流の場となっており、毎年開催されています。今年は8月23日~25日に、熊本大学にて開催されました。
伊保内さんは学部4年次から音声認識に関する研究を進めてきましたが、研究とともに、本学基礎教育研究センターの岩見一郎教授による英語プレゼンテーション能力育成支援プログラムにも取り組んできました。そして、本学で2月に開催された第3回英語プレゼンテーション・セミナーにて講演するなど、英語の発表スキルの向上に励んできました。その取り組みが活かされ、今回の国際会議発表に結び付きました。 [...]
2024-06-25E-letter / イベント夏のオープンキャンパスを開催します
2024年7月6日(土)・7日(日)夏のオープンキャンパスを開催いたします。八戸工業大学オープンキャンパスページにて詳細を公開しておりますので、ぜひ確認・お申し込みください。
八戸工業大学 夏のオープンキャンパス2024
本コースではコース紹介ブースと学科・コース見学&体験を担当し、概要は次の通りです。(以下はリンク先の大学オープンキャンパスページと同じです)
工学科 電気電子通信工学コース社会を支える電気電子通信工学、その学びの場を紹介します。
電気電子通信工学コースでは、生活・社会を支える電気電子通信工学の知識と技術を学べます。特に本コースでは、先輩によるさまざまな支援や自主的なものづくり活動ができる工作室など、技術の習得と実践を促進する場を整えています。また、本コースは電気主任技術者や特殊無線技士などのさまざまな資格の認定校となっており、条件を満たすことで、これらの資格を卒業後に得ることもできます。本コースの卒業生は、東北電力・JR東日本・日本原燃など数多くの優良企業で活躍しています。
オープンキャンパスでは、学生スタッフ・教職員スタッフによる説明と展示・デモンストレーションを通して、本コースでの学びと未来に触れて頂きます。 [...]
2024-05-10E-letter / イベント / 記事6名の学生が水交会賞を受賞
掲載日:令和6年5月10日
令和6年5月8日電気電子通信工学コース所属学生へ水交会より令和5年度水交会賞が授与されました。令和5年度の活動より学業成績表彰3名、課外活動表彰3名の計6名が表彰され、今後ますますの活躍を期待すると河原木会長より声をかけられておりました。 [...]
2024-04-08E-letter / 研究関連 / 記事大学院工学研究科の赤松さんが「令和5年度 森林・林業技術交流発表会」で日本森林技術協会理事長賞を受賞しました
掲載日:令和6年4月8日
本投稿は八戸工業大学HPの記事「大学院工学研究科の赤松さんが「令和5年度 森林・林業技術交流発表会」で日本森林技術協会理事長賞を受賞しました」より引用しております。画像などより詳しくはリンク先をご覧ください。
大学院工学研究科(電子電気・情報工学専攻)の赤松笙太さんが、「令和5年度 森林・林業技術交流発表会」(主催:東北森林管理局)において、日本森林技術協会理事長賞を受賞しました。発表タイトルは「人工知能を用いない自動画像解析による枯死木検出法の開発」です。青森県の松枯れ被害に注目し、目視検査の手法を踏襲した画像解析手法の開発を行いました。 [...]
2023-12-28E-letter / イベント / 記事電気学会制御研究会を開催しました
掲載日:令和5年12月26日
本投稿は八戸工業大学HPの記事「電気学会制御研究会を開催しました」より引用しております。より詳しくはそちらをご覧ください。
12月22日(金)に本学サテライトキャンパス「ばんらぼ」において、電気学会の主催による制御研究会を開催しました。この研究会には、同学会の電子・情報・システム部門における「制御・信号処理の分野横断技術の高度化調査専門委員会」が協賛しており、本学の越田俊介准教授(工学部工学科電気電子通信工学コース)が本委員会の委員長を務めています。 研究会では計9件の研究発表が行われ、主として制御と信号処理の両分野に深く関係したテーマについて、基礎理論から応用技術まで多岐にわたった研究成果が紹介されました。また質疑応答では、当該分野の専門家による様々な観点から、活発な討論が行われました。 [...]
2023-12-12E-letter / イベント / 記事電子情報通信学会東北支部講演会が実施されました
掲載日:令和5年12月12日
執筆:教授 柴田幸司
2023年12月8日(金)の16:10 – 17:40は八戸工業大学工学部・電気電子工学科の4-209講義室にて、誘電緩和分光と光散乱・吸収測定と題し、山形大学理学部の天羽優子先生による電子情報通信学会東北支部の講演会が実施されました。電波や光は共に電磁波の一種ですが、天羽先生は現在、空間を伝搬する数100kHzという低い周波数の電波から光領域にかけた広い帯域(波長域)での、電磁波の物質(誘電体)への入射に対する応答(反射や吸収)特性との関係(複素誘電率(屈折率)等の電気定数と関連付ける誘電体という物質と電波や光との相互作用)を解明する先駆的な理論・実験的検討に従事されています。しかし、これらの関係は電波や光の伝搬、反射(散乱)、吸収を司る支配方程式に従います。その為、この日の天羽先生のご講演では先ず、光・電磁波の物理現象を支配する方程式からの反射・散乱・吸収との関係式を導出した上で、電波・光に対する測定結果を考察して頂けました。聴講者には、光の物理現象を液晶ディスプレイへ応用する研究者や、セラミック材料に対して分光計で特性解析をする研究者等、関連する専門家が多く含まれていた為、講演後は活発な質疑応答が行われました。 [...]
2023-11-16E-letter / イベント / 記事アジア原子力研修生が来学しました
掲載日:令和5年11月15日
執筆:教授 石山俊彦
2023年9月より2ヶ月間にわたり,海外から原子力研究で研修生が来学しました.これは,文部科学省の原子力研究交流制度を利用したものです.
今年度は,Danさん(フィリピン原子力研究所),Okviさん(インドネシア国立研究革新庁)の2名を受け入れました.両名に,本学や日本の印象を書いてもらいました.Danさんは,「八戸工業大学には効果的に学習するために必要なリソースが揃っており,学生に目標を達成するために必要なサポートが提供されている.」と印象を述べてくれました.Okviさんは,「スタッフの温かいもてなしが印象に残った.また,本学で学んだことを自国に持ち帰り,指導に役立てたい。」と述べてくれました.
すでに研修は終了し,両名とも本国に戻られました.2ヶ月間,お疲れ様でした.
※両名の承諾を得て,書いていただいた原文を掲載します.
Danさん
HIT is a great place to learn. They have the necessary resources for the students to learn effectively. The laboratories are equipped with the necessary instruments and equipment needed for practical applications. The professors are experts in their own designated field. Students are provided with all the necessary support in achieving their goals.
Okviさん
There is always a first impression when doing something new, from the environment or meeting new people. My first impression when I arrived at Hachinohe was that the staff was warmly welcomed and accompanied us and adapt here. The HIT environment also looks very cool and comfortable, surrounded by lots of trees. The first week we were invited to Rokkasho Village where there are many nuclear facilities. Apart from studying nuclear, we also learn about Japanese culture, which of course is a new life experience. We were also taught by kind and reliable professors about fabricating detectors, weekly lecture about calculations from the Fukushima Daichii accident and so on. Then we are also given the opportunity to learn on our own, and can carry out self-development which is difficult if done in the office (outside of the training period). On this occasion I try to add new material that I can provide to students using my facilities, from the reference books available here. [...]
2023-11-15E-letter / イベント / 講座公開講座「うろうろロボットを作ろう」久慈で開催
11月3日「文化の日」、本コースではこの日に合わせ公開講座を企画しており、今年は「うろうろロボットを作ろう」との題材で久慈市中央市民センターにて開催いたしました。
今回の講座では光センサを用いて障害物を回避する自走式のカートが題材で7組の親子に参加いただき、石山俊彦教授による指導の下、電子回路とカート部分を製作しました。参加者はハンダ付け作業には苦労しながらも、無事に全員が時間内に完成しました。参加者は組み上げた回路によって自走するカートに満足していたようです。
本学ではこのような体験型の講座のほか講演型の講座も開催しています。興味がある方は是非ともご参加ください。
八戸工業大学公開講座案内:https://www.hi-tech.ac.jp/study/kouza/
解説をする石山教授
作業の様子 [...]
2023-10-12イベント / 講演会応用物理学会東北支部講演会 兼 八戸工業大学先端技術工学講演会が開催されました。
日時
2023年9月29日(金) 14時30分 ~ 16時
会場
オンライン・八戸工業大学聴講会場(4-110)
演題
『大学発小型宇宙機および小型ロケットの研究開発~無線通信部分のトピックを中心に~』
講師
福島誠治 氏
鹿児島大学電気電子工学プログラム 教授NPO鹿児島人工衛星開発協議会 [...]
2023-10-11E-letter / イベント / 記事学園祭で学科や研究の展示を行いました
掲載日:令和5年10月11日
執筆:教授 柴田幸司
2023年10月7日(土)および8日(日)は、八戸工業大学の学園祭が行われました。ご存知の通り、2020年2月末からのコロナウィルスの影響により、我々の活動も自粛を余儀なくされ、本格的な学園祭は2020年と2021年に行われていません。因みに2022年は大学の創立記念に関連し、街なか学園祭として実施されました。従い2023年度の学園祭は、八戸工大としては久しぶりの本格的な実施と考えられます。そこで、私も八戸工業大学の一員として、工学部・電気電子通信工学コースでの学びの内容や、自身の研究室の活動状況についてポスターや機器を配置して展示や説明を行いました。当方も3年ぶりでの学園祭でのE科や自身の研究室の内容の展示となりましたが、学科の運営に必要な朝晩の鍵の開け締めや、各教室の開閉、廊下や教室の電灯の点灯・消灯など、新人教員の時に行ったことを久しぶりに再体験しました。自分の所属している組織の宣伝や新しい人材の獲得には、このような地道な仕事の積み重ねが重要と再認識しました。 [...]
2023-08-24E-letter / イベント / 記事変電施設の見学
掲載日:令和5年8月24日
執筆:准教授 越田俊介
8月21日に、本学科の3年生が東北電力ネットワーク(株)上北変電所を見学しました。見学においては、職員の方から変電所の役割や各設備の概要をわかりやすくご説明頂くとともに、県内・県外の各地へ安定した電気を供給するためのさまざまな取り組みについてもご紹介頂きました。また、就職活動を控えた3年生に対し、電気施設での仕事に就くためにどのような知識や技術が必要となるかについても、親身にご説明頂きました。
今回の見学は3年生の授業の一環として実施しましたが、電気電子通信工学コースではこの他にも、東北電力ネットワーク(株)からのご協力のもとで、火力発電所や原子力発電所などの施設見学の機会を毎年頂いております。このように電気電子通信工学コースは、普段の授業では得られない「電気と深く関わる」体験の機会に非常に恵まれた環境です。
施設見学の実施において、終始ご協力を頂きました東北電力ネットワーク(株)の皆様に、心より感謝申し上げます。
・東北電力ネットワーク株式会社 ホームページ:
https://nw.tohoku-epco.co.jp/index.html
・東北電力ネットワーク株式会社 X(Twitter)アカウント:
https://twitter.com/tohoku_network?s=11&t=UZV7FgRxxSzp858MUZEmBA [...]
2023-08-23E-letter / イベント / 記事2023年夏のオープンキャンパス
掲載日:令和5年8月23日
執筆:講師 花田一磨
去る8月5、6日に八戸工業大学夏のオープンキャンパス2023が開催されました。今年度のオープンキャンパスは新型コロナウイルスの影響が大きかった昨年度までと異なり、コースにおける体験授業の時間を少し長くとることができましたので、過去のオープンキャンパスに倣い簡単なロボット製作を行うことにしました(写真1)。
製作したロボットは過去の公開講座で扱ったパペットロボットのマイコンを、Wi-fi通信やBluetooth通信が可能でArduino統合環境でプログラミングができるESP32に変えたもので、スマートフォンで操作できるようになっています。
使用したESP32は電気電子通信工学コースで開講している電子回路IIの授業でも扱っており、使えるようになればいろいろと面白いことができます。参加者の皆さんはこういうものを使ってどんなものを作りたいと思ったでしょうか?こんな風に楽しいものづくりにつながる電気電子情報通信技術に興味を持ってもらえると幸いです(スマートフォンとESP32の接続方法がわからない、というトラブルがあれば花田(hanada@hi-tech.ac.jp)までご連絡ください)。
ところで図1のQRコードはコースのバーチャル見学用に試作した360度写真の動画をアップロードしたyoutubeのアドレス(https://youtu.be/UymWjKg79oI)です。無音で特に動きはありませんが、視点を変えることができますので興味があればご覧ください。
写真1 コースにおける体験授業の様子
図1 バーチャル見学用動画(https://youtu.be/UymWjKg79oI)
・八戸工業大学オープンキャンパスページ(https://www.hi-tech.ac.jp/exam/opencanpu)
・八戸工業大学入試インフォメーション(hi-tech.ac.jp/exam/info)
・八戸工業大学入試部のLINE@アカウント(https://page.line.me/hi-tech) [...]
2023-07-25E-letter / 記事 / 講演会本学卒業生による講演会が実施されました
掲載日:令和5年7月25日
執筆:教授 柴田幸司
2023年7月12日(水)の10:30 -12:00に4-209講義室(電気電子通信工学棟)にて、本学卒業生による講演会が実施されました。講演者の新谷 聖さんは2017年に本学工学部電気電子工学科を卒業後, 旭光通信システム(株)に入社し、八戸事業所で主にJR各社, 大手鉄道会社およびNEXCO各社向けIP通信システムの設計開発に従事しています。本講演では、最初に総務課の小室様より旭光通信システムの業務内容についてご説明があり、続いて新谷さんより、旭光通信システムに入社したきっかけと電気電子情報通信システムのものづくりの魅力、必要なスキルや心構えと取り組みを教授頂くとともに、実際の業務の様子をスライドにて詳細にご説明頂きました。聴講者の本学2年・電気電子通信コースの学生は、八戸市内にある電気電子装置の製造業における先端的な通信システムの設計開発業務について興味深く聴いていました。特に、八戸市内に太陽電池による自立駆動形の監視カメラを設置した事例を興味深く聞き入っていました。 [...]
2023-02-28E-letter / 研究関連 / 記事教材としてのアプリ作成
掲載日:令和5年2月28日
執筆:准教授 越田俊介
今年度、高校生など外部の方々を対象として、筆者の専門分野であるディジタル信号処理に関する授業を何度か実施しました。ディジタル信号処理は計算機の数値演算を基にした技術であるため、コンピュータが不可欠です。そこで、授業を実施するにあたり、受講生がコンピュータを直に操作して信号処理を気軽に体験できるような教材として、信号の生成や雑音除去を実現するアプリを作成してみました。たとえば下図に示したアプリでは、2つの波を重ね合わせた信号を生成し、その時間波形とパワースペクトルをグラフ表示するとともに、音も出力します。なお筆者は研究にてMATLABを利用していますが、現在のバージョンのMATLABではアプリの開発環境が整っており、所望のアプリを容易に作成できます。 コンピュータを利用した信号処理体験の授業の試みは以前から行われていましたが、筆者の知る限りでは、一昔前はアプリ利用ではなく信号処理のプログラム作成を主体としていたように思います。プログラム作成の実習は、プログラミングが得意な受講生に対しては有効ですが、プログラミングが未経験であったり苦手意識を持っていたりする受講生にとっては、信号処理体験の楽しみが半減してしまいます。また、信号処理を勉強する上では基礎理論の習得が非常に重要ですが、基礎理論の理解とプログラミングの両方を扱った実習の場合、基礎理論の理解が疎かになりやすいとも感じています。このような背景から、アプリの利用を主体とした実習は、基礎理論の理解へのハードルを下げる有効な方法の一つになり得ると思います。 [...]
2023-02-01E-letter / 記事新旧技術・価値観の橋渡し
執筆:准教授 佐々木崇徳
投稿日:令和5年2月1日
世の中には次々と新しい技術が登場し、生活が便利になっていく。最新技術によるものもあれば、斬新なアイディアによるものまで、枚挙にいとまが無いほどである。
「便利なツールがあるのなら、それを使えばいいじゃない」
といわれるが、確かに至極合理的ではある。 例えば電子卓上計算機(電卓)、確かに数字を打てば計算結果がはじき出される。その計算結果は正確で、しかも素早い。昔は筆算、暗算が基本で、ちょっと進んでいる人は算盤を使って計算していた。それに比べてなんと効率的であろうか。
しかし、ちょっと待ってほしい。電卓は確かに正確で、その途中計算の仕方を知らなくとも計算結果を得ることはできる。だが、その答えは正しいのか?確かに電卓は計算ミスをすることは無い。しかし、その途中の数字や計算記号など、関数電卓であれば括弧の範囲や関数などが間違っていた場合、さらには入力した数値自体が間違っていた場合、その結果は意図したものとなっているだろうか。昨今大学の定期試験などでも電卓の使用を認める場合も多くなっているが、正答率が上がっていたり、解答時間が短縮されていたりといったことは、実感としてはあまり感じられない。
電卓を使うことで計算過程を考えずに、あるいはおおよそどの程度の答えになるかを予想せずに電卓を打ち、その結果を転記する作業を行っているに過ぎないのでは無いかと疑いたくなる。
そもそも便利なツールというのは、不便な時代を知っている人から見た価値観である。はじめからそのツールが身近にある人に取ってみれば、特段便利というわけでも無く、当たり前のツールである。しかし、不便な時代においては、ツールに頼らずに自身で解決する手段を必死で身につけ、それを使いこなしていた。そこに新いツールで作業が効率化されて、正確かつ高速な作業を可能にしている。
そうはいっても、今筆者のような世代が感じていることは、おそらくもっと前の世代も感じていたことであろう。世代間の考え方や能力の差について、「最近の若者は」という嘆きの言葉は紀元前3000年頃にエジプトですでに言われていたようである。しかしそう言われても5000年間着実に文明は進んでいるわけだから、翻ってみればこういった発言をしている人はその過渡期に於いて、次の世代を心配している一方で、新しいスタンダードに取り残される不安を抱えているのでは無いか、ともとれる。
筆者らは大学で教鞭を執る立場にありながら、常に新しいことを模索するという特殊な仕事をしている。そのような中で、やはりこの新旧の壁に頻繁にぶつかっており、日々学生との向き合い方を模索している。技術と価値観が変遷していくなか、我々は古い価値観を押しつけるのでは無く、古い知識や技術の利点を伝えて、新しい世代がそれを選択して継承してくもらえるような工夫を求められているのかもしれない、と思う今日この頃である。 [...]
2023-01-04E-letter / 記事ComputerGraphics作成ライブラリ
執筆:准教授 神原利彦
投稿日:令和5年1月4日
近年のComputerGraphics(以下CGと略)業界における表現技術の進歩は著しく、Unreal Engine(図1左)やUnity(図1右)といった最新のゲームエンジンを使えば、美麗な3次元CGが簡単に描けるような時代となっている。そんな時代にあっても、筆者は細々とマイナーなCGライブラリを使って研究している。ライブラリとはプログラミングの補助ツールのようなものであり、学生のプログラミング教育の教材として使用されている。単に美麗さを追求する気がないだけと言ってしまえばそれまでだが、無料で使える上に使い勝手が気に入ったせいもあり、筆者は長年使い続けている。今回は、そのマイナーなCGライブラリを2つ紹介する。
図1:Unreal EngineとUnityのロゴマーク
1つ目は、Coin-3Dと呼ばれるライブラリである。そもそも、筆者は最初からこのCoin-3Dを使っていたわけではない。最初に使っていたCGライブラリは、米SGI製のワークステーションコンピュータO2(図2)の上で動作するOpenInventorというものであった。これはSGIが倒産した現在でも生き残っており、TGSという会社が保守・販売をしているのだが、商用ライブラリで高価なため、大学教員ごときが買えるものではない。TGSはSGIの過去の遺産を生かし技術を引き継いで正式なライセンスとしているから高価なのも当然と言えよう。SGIの全盛期には、映画「ジュラシックパーク」のCGがすべてSGIのワークステーションコンピュータで創られたというほどSGIのCG技術はハードウェアとソフトウェアの両面で優れていた。だが、栄枯盛衰が激しい業界なので、やがてハードウェアはnVIDIAやATIに追い抜かれ、ソフトウェアもOpenInventorをオープンソース化しようとして失敗するとかの凋落が続き、最後は倒産してしまった。
図2:SGI製ワークステーションコンピュータO2(オーツー)
では、Coin-3Dとは一体何か?実は、OpenInventorのクローン・ライブラリなのだ。TGSとは別の作り手がゼロから書き起こしたコードで創られており、内部の計算構造などはOpenInventorとは全く異なる作り方をしているくせに、関数名はOpenInventorと全く同一の名前でほぼ同一の機能として使えるライブラリなのだ。つまり、やってることはTGSのOpenInventorと同じなのに無料で使える上にライセンス的にも合法ということになる。元々がIRIXというUNIXプラットフォームで動いていたせいもあり、現在でもWindows/Mac/Linuxのどのプラットフォームでも使えるというのが嬉しい。尤もCoin-3D単体では使えず、LinuxやMacであればSoQtが、WindowsであればSoWinが補助的に必要になってくるが、そのあたりの詳細は長くなるので割愛する。何にせよ、OpenInventorを使っていた時代のC++プログラムがCoin-3Dを使えば、全く問題なく動作しCGが表示されるのだ。このCoin-3Dは研究だけでなく、プログラミング教育にも役立てている。マイナーな存在と書いたが、実はFreeCADと呼ばれるCADソフトのプラグインとしてCoin-3Dが使われているらしい。興味のある人は、Inventor Mentorという書籍(図3)を参考にプログラムを書いてみるといい。全ページ英語だが、日本人でもすぐわかるぐらい簡単な表現しか使ってない上に図が多くてわかりやすいので、すぐCGが創れる。
図3:OpenInventorの教科書 「Inventor Mentor」
筆者が紹介するもう1つは、Drawstuffと呼ばれるCGライブラリである。OpenDynamicsEngineと呼ばれる物理エンジンに付属している簡易なCGライブラリで、とにかく軽い。Unreal EngineやUnityがやたら重くて、いくら美麗なCGであってもカクカクした動きでは話にならんという一方で、Drawstuffは、美麗さは無いがサクサク動いてくれるという点が優れている。OpenDynamicsEngineを使う場合だけでなく、別のシミュレーションの3次元的な可視化の研究にも使っている。尤も、あまりにも原色的なので、CGというよりは子供のお絵描き…と言われることもあるぐらいだ。確かに美麗さはないと言って良いだろう。
さて、Coin-3DとDrawstuffのうち、どちらのCGライブラリも細かい仕様がかなり異なる。そのため、どちらかの仕様のつもりでプログラムを書いていたら、実はもう片方の仕様だったなんてことも起きる。Windows動かしてるのに、Macのキー操作してしまった…と同じような感覚である。例えば、表示座標系の仕様が異なっている。Coin-3Dは、水平x軸、垂直y軸、奥行z軸なのに対し、Drawstuffは、水平y軸、垂直z軸、奥行x軸なのだ。そのあたりの2つの仕様の違いを理解し、同じような動きをするように考えてプログラムを書くというのも実に面白い。仕様が違うなら、頭を使って、違うのに合わせてプログラムを書き変えればいいだけのことだ。特にCG描画のプログラムってのは、表示させてみれば、どこがおかしいかは一目瞭然なので、表示された結果をじっくりと観察すればエラーや不具合などがわかるはずである。例えば、同じウサギ像のポリゴン・データを使って、CGを作成した例を図4に示す。左がCoin-3Dで、右がDrawstuffによるものである。同じデータなのに、美麗さに差があることが図からもわかる。ポリゴン1つとっても、Coin-3Dは3頂点以外にも平面の法線ベクトルを指定しなければならない。どちらが表でどちらが裏かを指定するためである。その一方で、Drawstuffは3頂点の記述順番で裏/表を判別しているので法線ベクトルを計算する必要は無い。
図4:ウサギ像のCG表示例(左:Coin-3D、右:Drawstuff)
CGプログラミングに限った話ではないが、目に見える形で不具合やエラーがわかるというのが、プログラミング上達に欠かせない要素である。人間は目に見えないと気が付かないから、目に見えない不具合やエラーが放置されたプログラムが次々に問題となっている現状がある。だからこそ、今後もこれらのライブラリを自身の研究発展や学生の教育促進に役立てたいと願う。 [...]
2022-12-01E-letter / 記事就職に強い、電気電子通信工学コース
投稿日:令和4年12月1日
教授 信山克義
2023年3月本学工学部電気電子工学科(現:電気電子通信工学コース)卒業予定の学生について、入学時から4年間修学支援担任を務めており、進路についても全面的にサポートしました。
リクルートの就職みらい研究所の「就職プロセス調査」によると、2022年10月1日時点の2023年3月卒業予定大学生の就職内定率(内定はもらっていても、就職活動を続けている学生の割合)は93.8%、進路確定率(進路先を確定した学生の割合)は87.1%とのことです1)。また、青森労働局によると、青森県内の大学生(11校)の就職内定率は、10月末時点で68.0%とのことです2)。一方、本学科の学生の進路確定率は9月1日時点で100%となりました。
学生は、電力会社や電気設備業、プラント・エンジニアリング業、半導体・電子部品製造業、情報通信業、自動車開発業など、幅広い業界から内定を得ました。内定先は、約6割が大手企業であり、約3割が地元の優良企業、公務員に内定した学生もいます。受験企業数は、約6割の学生が1社のみであり、残りの学生も数社です。大学院に進学する学生もおります。 このように電気電子工学科(現:電気電子通信工学コース)は就職に強いのですが、これには大きく3つの理由があると考えております。
■電気電子通信分野を広範にカバーする独自の学習環境
電気電子通信工学コースではエンジニアリング・デザイン教育を重視しており、一つの課題に対して様々な知識を集約して多様な解を考え出す能力を身につけます。また、チャレンジ精神に富んだ企画カ・設計力を育むため、4年間一貫した実践教育を行い、電気電子通信分野の専門知識を広範にわたり身につけます。本コースは様々な国家資格の認定校となっているため、条件はありますが卒業後に電気主任技術者や特殊無線技⼠などの難関国家資格を得ることができます。 社会では、理系の中でも特に電気電子通信分野の高度な専門知識を身につけた人材の需要が高く、本コースの学生はこれらの専門知識に加えて問題発見力や課題発見力、問題解決能力、リーダーシップ力を備えて卒業生していきます。
■学生一人ひとりを把握した、徹底した進路サポート体制
現4学年の修学支援担任として、入学時から学生の顔と名前を覚え、授業の出欠状況や交友関係なども把握し、学内の教職員と連携しながら親身にきめ細かくサポートしてきました。学生の顔と名前を覚えることの大切さは、若い頃に坂本禎智学長から教わりました。
学生への就職関連情報配信や個人面談は、オンラインを大いに活用しました。個人面談は、学生一人ひとりが希望する進路を把握するために時間をかけて何度も行い、希望に沿った企業を紹介しました。学科独自の企業説明会や見学会も積極的に開催し、学生の進路選択に役立ててもらいました。エントリーシートの添削や面接練習などのサポートは、就職支援担当スタッフや卒業研究担当教員と連携しながら行いました。このように、本コースには学生に寄り添いながら一人ひとりを把握した徹底した進路サポート体制が整っています。
■50年の歴史があり、多くの優秀な卒業生が社会で活躍
本コースは、1972年の本学開学時に設置された電気工学科がルーツであり、50年の歴史があります。社会では、4,000人を超える多くの優秀な卒業生が活躍しております。求人で訪れる企業の採用担当者は、卒業生の活躍を熱心に語り、本コースの学生を継続して採用したいと仰っています。
1) リクルートの就職みらい研究所の「就職プロセス調査」
就職プロセス調査(2023年卒)「2022年10月1日時点 内定状況」
https://shushokumirai.recruit.co.jp/research_article/20221007001/
2)青森労働局「令和5年3月新規大学等卒業予定者就職内定状況(令和4年10月末)」
https://jsite.mhlw.go.jp/aomori-roudoukyoku/redirect/684_data_00434.html [...]
2022-11-01E-letter / 講演会卒業生による講演会を実施しました
投稿日:令和4年11月1日
教授 柴田幸司
2022年7月29日(金)の14:30より、本学の卒業生である水口 拓弥さまを八戸工業大学にお迎えし、工学部工学科電気電子通信工学コースの1年生に対する講演会を開催いたしました。水口 拓弥さまは2005年に本学の工学部電気電子工学科をご卒業されましたが、4年次には、藤田成隆 研究室にて太陽電池の高効率化用薄膜の研究に携わったそうです。その後は株式会社アルトナーに就職し、家電大手企業や大手自動車メーカの研究所でパワーエレクトロニクスや燃料電池、更に医療用電子機器の開発に携わりました。ご講演では、これまでの水口様のお仕事の足跡を振り返って頂きつつ、八工大の電気電子通信工学コース1年生に電気電子に関する技術開発の魅力のご説明を頂きました。水口様は本学をご卒業されて17年ぶりに本学に足を運んだそうですが、メディアセンター以外は当時の記憶とほとんど変わっていないことを感慨深く感じられたそうです。このような大先輩のご講演内容を、電気電子通信工学コースの1年生は真剣に聴講した後、多くの質問をしていました。このような貴重な機会を頂きました水口様に、この場をお借りしてお礼申し上げます。 [...]
2022-10-04E-letter / 記事必要と必然
投稿日:令和4年10月1日
執筆:教授 川本清
「アルスエレクトロニカ」というイベントがある。結構メジャーな催しのようだが、浅学にして最近読んだ書籍で知った。オーストリアのリンツで40年近くわたり毎年開催されていて、同名の公設企業体を設置するまでに発展しているらしい。リンツの人口は約20万人というから、八戸と近い。ことのはじまりはクラシック音楽フェスティバルの関連プログラムとしての電子音楽のイベントだったとか。日本でいうところのコミケのギーク版のようにも思えるも、第1回から「アート,テクノロジー,社会のための祭典」として定義されていたという。本書によると、アートとテクノロジーのそれぞれの民族誌が織り合わされるように「アルスエレクトロニカ」は発展しているように読み取れる。今では地域のみならず行政も加わって、アーティストのみならず企業も集積されているようで、地域振興の成功例ともいえるだろう。 八戸市の取組にもいろいろあるが、最近なら「本のまち八戸ブックフェス2022」がある。先月末、市中心街の複数施設を会場に、「はちのへホコテン」と同時開催された。私のスケジュール帳を見てみると2014年には現在も実施されている「本のまち」関連イベントに私的に参加していた記録がある。八戸ブックセンターが開館5周年を迎えたというから、「本のまち」という事業は、まだ10年にはならないが、規模も拡大し実施環境も充実してきているのだろう。そこで、「本」をキーマテリアルに、地域の拠点化を図ることを妄想してみよう。出版不況といわれる昨今、紙だけではなく電子書籍関連の掘り起こしは必須だろう。電子化なら地域は関係ない(!)かもしれないが、手持ちのワープロ作成の文書をただEPUBやPDFにするのみでは味気ない。やはり可読性や見映えを追求した電子版の高い編集力のある地域、書籍にとどまらず、デジタルアーカイブの構築ノウハウを蓄積した地域、著作権処理がスムースに進む地域、というのは魅力にならないだろうか。デジタルコンテンツは閲覧システム、表示デバイスの利用方法とも密接に関連する。ニーズが身近になればハードウェア関連にも何か展開が(クリスタルバレイ構想再び…)、あるだろうか。「ネットは広大」だ。地域で動く時代ではないかもしれない。しかし、アンプラグドな状態でも関係者が近くにいる、という状態まで集積が進めば、フェイズシフトが起きないだろうか? リンツはもともと鉄鋼業で成り立った都市だという。それが鉄鋼不況を経て「アート,テクノロジー,社会」を結び付ける地域に変容した。上の「本」からの展開はあくまで凡庸なたとえ話に過ぎない。時代は変化する。将来を見わたしたとき、社会と環境の必要と地域の必然を満たすアジェンダとはどのようなものになるだろうか。 鷲尾和彦、「アルスエレクトロニカの挑戦」、学芸出版社(2017).https://book.gakugei-pub.co.jp/gakugei-book/9784761526412/ 八戸ブックセンター「本のまち八戸ブックフェス2022」紹介ページ、https://8book.jp/bookcenter/5232/ 株式会社まちづくり「八戸のはちのへホコテン」ページ、https://www.8town.co.jp/project/hokoten/ 近藤信一、「青森県の『クリスタルバレイ構想』―構想はなぜ挫折したのか―」、機械情報産業カレント分析レポートNo.82(2011年1月). http://www.jspmi.or.jp/system/file/6/25/current_82.pdf
マチニワでの「一箱古本市」の準備の様子。この後、画面奥の八戸ポータルミュージアムはっち前の表通りが歩行者天国に設定され、他の各種イベントと同時に開催された。(2018年9月30日) [...]