ソリトンとは?:根城安伯先生、名誉教授の称号を授与される

【No.18007/2018.05.25】

 私達は色々な信号情報を扱っています。できる限り大量の情報を伝えたいのですが、様々な波を利用することで解決しています。波が1秒間に振動する数を周波数といい、これを使いこなすことで情報化社会が成り立っています。しかし、こうした波は伝わっていく内に周りの影響を受けて形が崩れてしまいます。そのため、波を如何に変化させないで遠くに届けたら良いかが大きな研究課題になります。

 今、孤立波(ソリトン:Soliton)が注目されています。Fig.1は水面で速度の早い波が遅い波を追い越していく様子を示していますが、衝突してもそれぞれの波の形状、速度などが変わらず、安定しているという特徴があり、孤立した波、ソリトン波と見なせます。光ファイバ中を伝搬する光でもソリトンを作り出せることから、大容量・長距離の光通信が期待されています。

 根城安伯先生は、早くからこの研究を手掛けられ、鋭い形状のカスプ・ソリトンを理論的に見出し、この分野の発展に尽くされました。これを讃え、5月25日に名誉教授の称号が授与されました。(Photo.1)地震の際、何分後に津波が来るという警報が出されますが、これもソリトンの理論を使っているそうです。科学技術の基本は様々なものに応用できるのだなと実感しています。 

Fig.1 水のソリトン(孤立波) Photo.1 称号授与を皆さんで祝福(前列左が根城先生)