電気電子と情報と信号処理

電気電子と情報と信号処理

執筆:准教授 越田俊介

 私の研究専門分野は信号処理(主としてディジタル信号処理)です。ディジタル信号処理とは何かを端的に説明すると、「数値データの集合として構成されるディジタル信号を、加算や乗算をはじめとする数値演算によって加工・変形・分析する技術」となります。

 私が本学に着任して以来、早くも1年が経とうとしていますが、これまでに本学の先生方から「越田先生の専門分野は、電気電子・情報それぞれの分野のどこに該当するのでしょうか?」と聞かれることが度々ありました。この質問にはっきりと答えるのは難しいのですが、個人的な感覚としては「どの分野にも関わっていますが、最も近いのは情報の分野だと思います」と答えることになるでしょうか。前述の通り、ディジタル信号処理では数値演算が必須となるため、プログラミングおよび数学的な議論がいろいろ必要とされます。それを考えると、私としては、ディジタル信号処理はどちらかと言うと情報の分野に近いのかな、と(何となくですが)考えています。ただ、ディジタル信号処理の基礎理論は電気回路や過渡現象をはじめとする電気電子系の学問とも密接に結びついているので、電気電子と情報の両方を広く勉強し習得しておくことが、ディジタル信号処理を学ぶ上で重要であると思います。実際、全国の教育機関を見てみると、ディジタル信号処理を専門とする先生方においては、電気電子系の学科に所属されている先生方と、情報系の学科に所属されている先生方のどちらもたくさんいらっしゃいます。そしてどの先生方も、電気電子と情報の両方の分野に深く精通していらっしゃいます。

 前回のE-Letterでも述べましたが、私は本学にて電気電子工学科・システム情報工学科の2学科の講義を担当しており、そして学生の卒業研究にあたっては、両方の学科の学生が私の研究室に配属されます。今後は、まず私自身が電気電子と情報の両方をより深く勉強して、両学科の学生とも意欲的に勉強に打ち込めるように指導していければと思います。