高精度な位置情報が拓く新たな未来

高精度な位置情報が拓く新たな未来

 執筆:准教授 佐々木崇徳

 GPS(Global Positioning System、 全地球測位システム)が登場して25年がたち、衛星による測位は一般的なものになりました。スマートフォンなどにも搭載され、より身近に活用されています。GPSあるいはより一般化されたGNSS(Global Navigation Satellite Systems、全地球航法衛星システム)のアプリケーションとしてまず挙げられるのがカーナビゲーションでしょう。そしてそのカーナビゲーションのさらなる応用として、昨今注目されているのが自動運転技術です。

自動運転といっても、自動車だけではありません。ドラマ「下町ロケット」でも題材に上がっていた農業機械の自動運転や、雪国などでは除雪機械の自動運転、さらには最近何かと話題のドローンの自立飛行など、応用範囲はどんどん拡大しています。こうした自動運転にとって、実際に必要な測位精度はその目的や自立移動させる対象のサイズ、それらを動かす区域等によっても変わってきます。中にはセンチメートル級の精度が要求される場合もあるでしょう。

 ちなみに、GPSの単独測位では10 m程度の誤差が常に生じます。また、高さ方向に関しては精度が悪く15 m程度の誤差があります。そのため、GPSを補助して精度を上げる技術が様々開発されています。その一例として、RTK(Real Time Kinetic)という技術があります。簡単に言えば固定局と基地局の2つを準備して、それぞれの受信機でGPS測位を行い、それぞれがGPSとは異なる電波で通信を行うことで位置を補正しセンチメートル級の精度を達成しています。

 センチメートル級の精度の位置情報が得られるとなれば、あなたなら何に応用してみたいと思いますか?