今、系外惑星探査が熱い

今、系外惑星探査が熱い

執筆:教授 石山俊彦

 逆上がりや自転車乗りなど、それまでできなかった事がある日突然できるようになることがある。本小論の読者にも、そのような経験があるだろう。天文学の世界でも、系外惑星探査は似たような事例である。
 夜空を見上げると無数の星が輝いている。これらは、大部分が太陽と同じ恒星である。したがって、地球のように恒星の周りを公転する惑星(系外惑星と呼ぶ)があっても不思議では無い。我々が住む太陽系も、水星から海王星まで8個の惑星が公転している。類推すれば太陽以外の恒星も惑星を伴っていることは十分に考えられることだ。
 系外惑星探査は1940年代頃から始められたが、最初に確認された系外惑星は1990年代の前半であった。その後、続けざまに系外惑星は発見されることとなった。現在では、系外惑星は3500個ほどが確認されている(候補を含めると、7000個と言われている)。また、系外惑星の発見・確認に貢献した2名の学者が2019年度のノーベル物理学賞に輝いた。
 それでは、90年代以降に系外惑星探査が活発になった理由はなんだろう?理由のひとつとして、近年になって急速に観測装置の巨大化や高精度化が進んだこと、さらにはケプラー宇宙望遠鏡などの新たな観測手段が利用できるようになったことがあげられる。それにともない、観測技術も進歩し、地上からは観測できない暗い天体(系外惑星)も検出することができるようになった。
 インターネットやコンピュータの発達が天文学に様々な利益をもたらしたことも影響しているだろう。天文学の世界では、新たな観測データは観測者グループによる利用のあとは、ネット上で公開される。これにより、世界中の研究者達が様々な視点やアイデアをもとに公開データを検討することで、新たな発見がもたらされるようになっている。
 本小論の読者にとっても、コンピュータやインターネットを利用することで、遠隔地の研究施設や世界最大級の研究装置が利用できることは大きな魅力であろう。これからもコンピュータやインターネットを利用することで、世界的な研究設備によって得られたデータの公開利用が進んでいくと期待される。