電流戦争

電流戦争

執筆:講師 花田一磨

 戦争(?)の気配を感じる今日この頃ですが、タイトルの「電流戦争」は19世紀終盤の電気事業黎明期において電力システムの電気方式として直流と交流のどちらを採用するかを争った出来事のことです。これを題材にした映画が「エジソンズ・ゲーム」(原題:The Current War)で、しばらく前からアマゾンのプライムビデオで見られるようになっています。

 いわゆる人間ドラマ中心の映画で、どうして交流方式が勝利したのかについては細かい説明はなかったような気もしますが――(ウエスチングハウスがニューヨークの地図上にボールを置き、直流方式だと送電距離が短く発電所がたくさん必要になることを示している。日本でいえば図1の東京電燈の資料が参考になる。直流発電機がある第1~5の各電燈局から半径数キロメートルしか配電できていなかった)――、冒頭5分くらいのところのウエスチングハウスの「エジソンが“夜を葬る”と」というセリフを聞き、東京・銀座にあるアーク灯の記念碑の「不夜城を現出した」という文言(写真1)や東日本大震災直後の夜を思い浮かべました。

 今日の話の流れとしては、①前述のアーク灯のイベントの前日譚が由来となっている3月25日の電気記念日、②3月11日東日本大震災、③直流方式が採用されている北本連系線(本学のある青森県と北海道を結んでいる)など色々展開できますが、発散してしまいそうですので「3月は電気について考える月」ということでひとまず筆を下してみます。