自然災害と大規模停電

自然災害と大規模停電

執筆:講師 花田一磨

 日本は諸外国と比較すると高度な電力システムが構築されており停電の頻度や停電時間も少ないと良く言われます。逆に考えれば、停電は珍しく、また東日本大震災を思い出してしまうからか、最近は自然災害に伴う大規模停電のニュースが続いています。令和元年台風第15号の被害はいまだ収拾がついていないものの9月末に停電がほぼ解消されたこともありますので、本稿では大規模停電からの復旧に要する時間について少し調べてみたいと思います。
まず、下図に大規模停電の停電割合の推移を示します。なお、地震は地震発生時(熊本地震は余震発生時)を、台風は被害報告等の第1報を横軸の原点(0日0時間目)としています。

図 停電割合の推移

 図に示した事例では、東日本大震災の翌日に停電から復旧していた八戸のように早めに復旧する場所もある一方で、ニュース映像にある電柱が倒壊しているような場所では復旧に要する時間がかかり、数日かけて徐々に復旧していくことがわかります。また、北海道エリアが全域で停電した北海道胆振東部地震は、停電からの復旧という視点では事例の中では早い方であり、台風第15号は停電「割合」としては東日本大震災よりも復旧に要する時間が長かったことも特徴です。
停電の長期化に関する昨今のニュースから見えてくるのは、その判断材料は電力システムの末端であり住宅に電気を供給している配電線(電柱)が無事かどうかにかかっているということでしょうか。時間に余裕があるときに、配電線をたどって住宅までどこから電気が届けられているのかを調べつつ、ハザードマップを確認して土砂崩れで配電線が寸断されそうなのかといった停電のリスクも事前に把握しておくと、次の備えや覚悟につながるかもしれません。