2011 年(平成23 年)3 月11 日(金曜日)14 時46 分に発生した東北地方太平洋沖地震に端を発した津東日本大震災では津波を始めとした多くの災禍をもたらしました。八戸市でも復旧期(2 年)、再生期(3 年)、創造期(5 年)と段階的に復興計画を進めています。5 年を経た今年6 月24 日(金)に、復興事業現地視察の機会を得ることができました。写真1 は津波被害を受けて、新たに建設された多賀地区津波避難タワーです。海岸線から数100 メートルの地点にあり、平地の中に想定津波浸水深さ9.02m、それに余裕高4.0m として、13.2mの高さに避難階が作られています。写真1 の白い窓の付いた部分が避難階です。そこでは緊急発電として写真2 の防災向け低圧LP ガス発電機(定格出力1,500VA)2 台が設置されていました。ガソリンタイプのものもありますが、変質しやすいこと、火災になる事例が報告されていることからLP ガスタイプが選ばれたとのことでした。
ところで発電というのはどのようなことを言うのでしょうか。「発電」とは「電荷分離」することを言い、正負の電荷をバラバラに引き離すことを意味しています。電荷には正と負があります。正負の電荷の間には引き合う力が、正同士、負同士では反発し合う力であるクーロン力が生じます。この力があると物を動かすことができます。この能力をエネルギーがあると言います。そして、力を加えて物を動かしたときに仕事をしたと言い、仕事はエネルギーの変化分にあたります。正負の電荷が一緒になるとクーロン力で打ち消しあうのでエネルギーはありません。正負に分かれることで、それぞれがエネルギーを持つことになります。
発電機の中にはコイル(導体)と磁石があります。導体は、正負の電荷が集まったものです。正負の電荷にはクーロン力が働き、一体になっています。この導体を磁界中で動かすと電荷にはフレミングの左手の法則による力を受けます。そのとき、正負の電荷にはそれぞれ反対方向に力が働くためバラバラになり、エネルギーが高まることになります。その外側に電気機器を置いて配線すると分離した電荷が一緒になろうとして配線の中を流れ、電気エネルギーとし取り出すことができます。電荷の流れは電流と言いますが、電気エネルギーの流れとも言うことができます。

写真1 平地にそびえたつ多賀地区津波避難タワー

写真2 防災向け低圧LP ガス発電機
pdf版:2016_Letter_No10