E-letterNo16007「プリント基板加工機、導入されました!」

学生達の自由創造空間であるエジソンクラブにプリント基板加工システムが導入されました。枚数がそれ程多くなく、色々な種類の配線パターンを製作するには打って付けの装置です。写真1 は装置の全体像です。PCB(PrintCircuit Board)とも呼ばれるプリント基板がステージ上に固定されています。PCB は、主に絶縁性のある樹脂を含浸した基板上に、銅箔など導電体が貼り付けられています。これを切削加工して回路(パターン)配線を構成します。中央部には丸いヘッドが装着されており、写真2 はそれを拡大したものです。先端にカッターが見えます。このカッターをスピンドルにより回転させ、下のPCB を切削して、配線パターンを描き上げます。もちろんCAD(computeraideddesign:コンピュータ支援設計)ソフトにより切削しますので、何枚でも同じパターンを削り出すことが可能です。電気電子システム学科内の様々なプリント基板がこの装置により作り出されます。この他にも、光で光感光樹脂に配線パターンを描いて、化学反応を使って不要な銅箔を溶かす高精度なフォトエッチング法などもあります。目的に応じて利点欠点を考慮して道具を使い分けることができます。

なお、PCB は有害物質「ポリ塩化ビフェニル」の略語PCB と間違われてしまうことがあります。この物質は電気絶縁性が高い絶縁油として用いられていた時代がありました。しかし、1968 年にカネミ油症事件を契機に製造が停止されました。食用油に間違って混入したPCB が、加熱されてダイオキシンに変化し、これが人体に色素沈着などの悪さをしてしまうものでした。性能の良さだけではなく、無害化技術、環境保全、安全性などへの配慮が必要だった事例です。


 

写真1 プリント基板加工機:3 次元動作可能

写真1 プリント基板加工機:3 次元動作可能

写真2 微細な削り出しを行うカッター部分

写真2 微細な削り出しを行うカッター部分

pdf版:2016_Letter_No07