学科近況報告「遙かなるシルクロード」

八戸工業大学同窓会報第7号掲載記事(2005年発行)

 学長補佐/大学院教授 増田陽一郎先生

増田教授

 ウルムチ市は日本から約5000km離れた遥かなるシルクロードの拠点にある人口160万の美しいオアシスの町である。

 八戸工業大学と新疆大学との交流は1989年頃、日本私立大学協会の薦めにより新疆ウイグル地区から選ばれた若手教員の研究・教育の支援活動が始まりである。昨秋9月始め新疆大学80周年記念式典に招聘され、本学からは小生および鈴木法人事務局長、藤田教授、山本助教授らの訪問団が式典および祝賀会に参加した。途中、眼下に天山山脈の天然雪を眺めながら憧れのウルムチ空港に到着した。空港には迪里木拉提先生はじめ留学が決定している李錦女史等が我々を迎えてくれていた。2台のベンツに分乗して赤信号も止まることなくホテルに直行した。後で聞いた話であるが大学の乗用車が不足した為に警察のパトカーが使用されたとのことでその歓迎ぶりに改めて驚いた。

 式典には約1万人の学生や各国の来賓の参加のもと3時間の式典が行われた。式典の司会者は安尼瓦尓学長のもと大學の歴史と今後の新疆ウイグル地区の発展のための抱負について熱い意気込みを感じた。当地区の共産党副書記を始めとする多数の来賓および卒業生、在校生のなどの挨拶があった。日本からは奈良女子大学、東京理科大学、立正大學、八戸工業大学等の各代表が正面壇上の特別席に参列した。

 翌日大學の迎賓館において新疆大學と八戸工業大学との間に学術交流協定の盛大なセレモニーが行われた。出席者は本学訪問団および新疆大學からは学長始め10数名の参加のもとに厳かに調印式が行われた。翌日の午前に、約300名の学生の前で八戸工業大学の最近の教育と研究、そして藤田教授が太陽光発電素子の新しい開発研究についての講演を行った。学生達からも質問があり感銘を与えたようであった。新疆大學は中国の100の大学のなかの1つに選ばれた開発発展の拠点大学として期待されている。その後3日間新疆大學のご好意により西遊記にも出てくるトルファン盆地の火焔山、ベゼクリク千仏洞、高昌故城、カシュガルのエイティンガル寺院、アパク・ホージャ墓などを見学した。

 今後この地は科学技術と環境を考慮した開発によりシルクロードに眠る地下資源、風力発電、太陽光発電、および天山山脈の雪解け水の資源等により砂漠が緑化される日が来ることを期待したい。その意味からも本学と新疆大学の学術交流協定が結ばれ、大学院後期博士課程に李錦女史をお迎えすることが出来ることは大変意義が大きい。教育は百年の計であり技術開発もまた百年の計である。


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