研究室探訪「増田研究室」

八戸工業大学同窓会報第10号掲載記事(2006年9月発行)

増田研究室
増田研究室

 卒業生の皆様お元気ですか。増田研究室は開学以来34年間で卒業生を248名余を輩出しました。卒業生の方々は日本および世界各地で元気に活躍されて居られます。近況を年賀状や電話等で知らせて頂いて居ります。その中には大学院博士前期課程および後期課程の修了生も居ります。

 私の研究のメインテーマは複合ペロブスカイト形酸化物強誘電体材料の探索およびセンサーデバイスの研究です。ペロブスカイト関連化合物は構成元素と結晶構造の多様性により電界、温度、圧力、光、不純物などに対してそれぞれ分極履歴現象、焦電性、圧電性、電気光学特性、半導体性等の現象を示す多岐に亘る機能の宝庫となって注目されて居ります。

 最初の頃はホットプレス法により電気光学デバイスの開発に主眼をおき透明セラミックスの開発を15年程度行ないました。その後、研究の方向は半導体プロセス技術および電子物性の知識をベースにして超伝導薄膜プロセスで蓄積された薄膜プロセス技術を強誘電体薄膜に利用した不揮発性メモリデバイス(FRAM)に移りました。このメモリーの特徴は低電力動作および不揮発性でしかも大容量記録が可能となります。この研究のコンセプトは特に最近の情報伝達システムは動画伝送を行なうブロードバンドシステムであり、今やTbits(テラビト)という膨大な種々の情報を光ハイバーに乗せて伝達する事が可能となっています。この事はマルチメヂア社会の到来を意味しており、新しいIT技術が思考している社会システムであります。この研究は日本学術振興会未来開拓研究として取り上げられ私がプロジェクトリーダとなり研究を取り纏めました。

 最近は研究が発散気味となり、色素増感型太陽電池の開発、マイクロ水車発電機の開発、トイレ機能付き電動車椅子やベットの開発など人間の尊厳を重要視したリハビリ機器の研究にも心を動かされている今日この頃です。研究は温故知新です。研究は若い学生の力により進歩します。後世畏るべし、と思います。皆様の益々の発展とご健勝を祈ります。