半導体デバイスの微細化の歴史と今後の進化について

半導体デバイスの微細化の歴史と今後の進化について

 1月17日、本学科専門棟にて応用物理学会東北支部講演会が下記の通り開催されました。

演題
半導体デバイスの微細化の歴史と今後の進化について
講師 大村 泰久 氏(関西大学 システム理工学部・教授)

 講演者は、半導体デバイス技術の歴史をもとに講演を始めた。半導体デバイスの技術は10年毎に技術的なブレークスルーが起こり、社会を変えてきたことが強調された。

半導体デバイスは、第二次世界大戦後、米国ベル研究所でのショックレーらによるトランジスタの発明で、その発展の歴史が始まった。1960年代にはMOSFETが開発され、集積回路の登場へとつながる。

 1970年代には、「平面型デバイスのスケーリング規則」が提唱された。スケーリング規則は、半導体開発のロードマップを示すものであり、これをきっかけに半導体産業界は興隆した。

 1980年代の半導体デバイス技術は、当時の半導体開発の限界とされた「ゲート長1μmの壁」との戦いであった。この壁はリソグラフィ技術が「1/10縮小投影露光技術」を開発したことで乗り越えられ、我が国の産業界は飛躍の時を迎えた。

 2000年代に入り、インターネットの利用と携帯電話やスマートフォンの普及が、パソコン価格の下落、さらには、半導体デバイス価格の下落をもたらし、半導体メーカの再編につながった。この状況は現在も続いており、講演者は半導体産業が時代の転換点を迎え、新たなパラダイムが求められていることを述べ、講演会を終了した。

 今回の講演では、トランジスタの発明からシリコンバレーの黎明期、1980年代の日米半導体戦争など、当時の技術者達が技術力を競い合った話を、当事者のひとりである講演者に語っていただいた。講演終了後の質疑においても、半導体寿命に見るメーカー間の開発競争や、2045年のシンギュラリティ問題と技術者などの質問が活発に寄せられた。